高校生の不登校は、年々増加傾向にあります。
「進路はどうなるの?」「卒業できるの?」と不安を抱く保護者も多いでしょう。
しかし、高校生の不登校は単なる“怠け”ではなく、
強いストレスやプレッシャーに対して心が悲鳴を上げている状態です。
思春期特有の自立心や繊細な感情が重なり、
家庭や学校だけでは解決が難しいケースも少なくありません。
この記事では、高校生の不登校の背景と心理、
親ができる正しい関わり方、そして将来へのサポート方法をわかりやすく解説します。
高校生の不登校が増えている背景
文部科学省の調査によると、2023年度の高校不登校者数は約9万7,000人。
これは過去最多であり、社会全体が抱える課題の一つとなっています。
高校では自由度が高まる一方、
「自分の将来をどうするか」という進路選択が現実的なテーマとして突きつけられます。
その重圧や人間関係の疲労、学習への不安が重なり、
「行きたくない」「もう限界」と感じる生徒が増えているのです。
中学までと違い、高校では不登校が進路や卒業要件に直結するため、
本人も保護者もより強い焦りを抱きやすくなります。
不登校の背景にある高校生の心理
高校生の不登校には、「自立」「葛藤」「孤立」という3つのキーワードが深く関わっています。
この年代の心の状態を理解することが、支援の第一歩です。
1. 自立と依存のはざまで揺れる心
高校生は、大人への移行期。
自分で考え、自分で決めたいという自立欲求が強くなる一方で、
まだ精神的には親や教師への依存も残っています。
そのバランスが崩れると、
「親に何を言われても反発する」「他人に頼れない」「自分の感情を整理できない」
といった行動が現れます。
不登校は、こうした内面的な葛藤が外に表れたサインでもあります。
2. 社会的プレッシャーの増大
高校生になると、進学・就職という“現実的な選択”が近づきます。
「将来が決まらない」「何をしたいか分からない」という焦りや、
「周りはみんな頑張っているのに自分だけ遅れている」という劣等感を抱く生徒も少なくありません。
さらに、SNSを通じた比較意識が強まり、
他人の成功体験ばかりが目に入ることで、
「自分はダメだ」と思い込み、心が疲弊してしまうのです。
3. 孤立と無力感
高校の不登校では、孤立感が顕著に表れます。
友人関係のトラブル、担任との不一致、グループの圧力――。
どれも本人にとっては大きなストレスです。
「自分だけがうまくいっていない」「誰も理解してくれない」と感じると、
学校に戻るエネルギーがどんどん失われていきます。
この時期に必要なのは、**「孤立させない関わり」**です。
家庭が安全な居場所になることで、少しずつ心が回復していきます。
親ができる適切な関わり方
高校生の不登校を前に、親が最も悩むのは「どう接すればいいか」という点です。
ここでは、家庭での具体的な関わり方を紹介します。
否定せず、まず受け止める
「怠けてる」「甘えてる」と決めつけてしまうと、
子どもは心を閉ざしてしまいます。
まずは、「学校がつらい」という感情をそのまま受け止めてあげましょう。
「行かなくてもいい」と放任するのではなく、
「行けないほどつらいんだね」「話してくれてありがとう」と伝えることが大切です。
受け止められたという安心感が、再び前を向く力になります。
進路よりも「心の回復」を優先する
親としては「進級」「卒業」「大学受験」などが気になりますが、
焦りは禁物です。
心が回復していない状態で無理に登校や受験を促すと、
かえって再び不登校が長期化することがあります。
まずは、「元気になること」=最優先の目標に設定しましょう。
健康な状態を取り戻せば、進路は自然と考えられるようになります。
会話より「信頼関係」を積み直す
親子関係がギクシャクしていると、
どんな助言も子どもには響きません。
言葉で励ますよりも、日常の小さな接点を増やすことが効果的です。
たとえば、
- 一緒に食事をとる
- 用事を頼む
- 雑談をする
こうした何気ないやり取りが、
「親は味方なんだ」と感じる土台になります。
学校との連携を続ける
子どもが学校に行けない時期でも、
保護者は学校との連携を切らさないようにしましょう。
担任やスクールカウンセラー、進路指導担当の先生と定期的に情報共有を行うことで、
別室登校や在宅学習、転学など、
柔軟な選択肢を検討できます。
また、「行けない期間」も「学びを継続できる期間」に変えることができます。
オンライン学習や通信制高校との併用など、
現代ではさまざまな方法で学びをつなぐことが可能です。
不登校を乗り越えた高校生の事例
ある男子生徒は、2年生の夏から不登校に。
きっかけは友人とのトラブルと成績不振でした。
当初は親に心配をかけたくなくて黙っていたそうですが、
母親が「行けないことを責めない」と宣言してくれたことで、
少しずつ会話が戻り、フリースクールを経て通信制高校に編入。
現在は自分のペースで資格取得を目指しています。
このように、環境を変える選択がきっかけで、
前向きな再出発を果たす高校生は少なくありません。
子どもの将来を見据えたサポート
高校生の不登校は、進路選択の見直しにもつながります。
「高校を卒業できないかもしれない」と不安に感じても、
今は多様な進学・就職ルートが用意されています。
- 通信制高校
- 定時制高校
- 高卒認定試験(旧大検)
- フリースクール・サポート校
これらは、**「自分のペースで学びを続ける道」**です。
子どもの特性や希望に合った環境を探すことで、
学びの再スタートが切れるでしょう。
まとめ
高校生の不登校は、思春期特有の心の葛藤と、
将来へのプレッシャーが重なって起こる現象です。
親ができる最大の支援は、
「行かせること」ではなく、「支えること」。
焦らず、子どもの心の回復を待ちながら、
信頼関係を取り戻し、必要な支援を受けることが大切です。
不登校は「終わり」ではなく、「自分の道を見つける始まり」。
その過程を親子で歩むことが、
子どもにとって大きな成長の機会となるでしょう。
✅ この記事のポイント
- 高校生の不登校は自立・葛藤・孤立が背景にある
- 親の焦りは禁物、まず「心の回復」を最優先に
- 信頼関係を築き直し、学校・支援機関と連携
- 不登校は「終わり」ではなく「再スタート」





