高校に進学してから「学校に行きづらい」「教室に入りにくい」と感じる生徒は、近年増加しています。
自由度が高くなる一方で、学習ペースや人間関係、将来への不安などのストレスも増え、
高校生の約30人に1人が不登校経験を持つとも言われています。
不登校になったとき、親は「卒業できるの?」「進路はどうなるの?」と不安を感じるものです。
この記事では、高校で不登校になる背景と復学へのステップ、
そして本人の将来につながる進路選択のポイントを、心理的な支援視点から解説します。
高校で不登校になる主な理由
高校の不登校は、中学や小学校とは異なる複雑さを持っています。
その背景には「心理的プレッシャー」「人間関係」「学業・進路不安」が交錯しています。
1. 学業・進路へのプレッシャー
高校生になると、テストや内申点、大学受験などが現実味を帯びてきます。
「成績が下がったらどうしよう」「進路が決まらない」という焦りは、
心のストレスとして積み重なり、不登校につながることがあります。
また、「やりたいことが見つからない」「将来に希望を持てない」と感じる生徒も多く、
この“空虚感”が学校への意欲を奪う原因になることもあります。
2. 人間関係の疲れ・孤立
高校では、クラスや部活動、SNSを通じた人間関係がさらに複雑になります。
「周りに気を遣いすぎて疲れた」「グループに馴染めない」という悩みから、
次第に登校する気力を失っていくケースが多く見られます。
特に、SNSでのトラブル(既読スルー、陰口、写真の拡散など)は
24時間つながるストレスとして、心を追い詰める要因になっています。
3. 学校環境・登校リズムの変化
高校では通学時間が長くなる、授業の拘束時間が増えるなど、
「生活リズムの変化」そのものが登校の壁になる場合もあります。
朝起きられない、体調が安定しない、睡眠リズムが崩れるなど、
身体の不調が不登校を引き起こすこともあります。
中には、**起立性調節障害(OD)**や軽度のうつ状態など、
医学的な要因が関係している場合もあるため、
「ただのサボり」と決めつけずに医療機関へ相談することも大切です。
不登校が進路に与える影響
高校の不登校は、進級や卒業、進学と密接に関わる問題です。
しかし、制度を正しく理解すれば、不登校でも進学・卒業は十分に可能です。
出席日数・単位制度の仕組み
高校は単位制が導入されているため、
出席日数が一定を下回ると「単位未修得」となり、進級・卒業に影響する場合があります。
ただし、学校によっては**「別室登校」「レポート提出」「オンライン授業」**など、
代替的な学習方法を認めているところもあります。
出席扱い制度をうまく活用すれば、
在宅でも学習成果を認めてもらうことができ、
卒業に向けた道筋をつなぐことが可能です。
不登校からの進路選択肢
不登校だからといって、進学をあきらめる必要はありません。
近年は多様な教育機関があり、
生徒のペースに合わせた学びの形を選ぶことができます。
主な選択肢
- 通信制高校:自分のペースで通える柔軟な学習環境
- 定時制高校:昼・夜間に通える時間帯選択型
- サポート校/フリースクール:登校支援・学習補助を受けられる場所
- 高卒認定試験:高校卒業資格を取得し、大学進学や就職へ進む道
高校に在籍しながら転学する生徒も多く、
環境を変えることで再び意欲を取り戻すケースもあります。
家庭と学校ができる支援
不登校が長引くかどうかは、家庭と学校の支援体制によって大きく変わります。
ここでは、それぞれの立場でできるサポートを整理します。
家庭での支援:否定せず、焦らず
「行かないとダメ」「甘えてる」と言ってしまうと、
子どもはますます自己否定感を強めてしまいます。
家庭では、**「行けない自分でも大丈夫」**と感じられる雰囲気づくりが大切です。
登校の有無よりも、「安心して話せる」「自分の気持ちを認めてもらえる」
そんな家庭環境が、心の回復を早めます。
また、食事・睡眠など生活リズムを整えることも、再登校の準備になります。
規則正しい生活リズムは、心と体の回復の基本です。
学校での支援:柔軟な学び方を提案
学校側も、最近では「多様な登校スタイル」を認める動きが進んでいます。
たとえば、
- 午後からの登校
- 別室や図書室での学習
- 在宅でのオンライン授業
など、段階的に学校との接点を保つ方法が広がっています。
担任やスクールカウンセラーと連携し、
「どのくらいなら無理なく登校できるか」を一緒に話し合うことが大切です。
不登校からの復学・再出発のステップ
不登校を乗り越える過程は、子どもによって異なります。
しかし、共通して言えるのは、“焦らないこと”が最大の支援という点です。
Step1:休むことを肯定する
最初の段階では「休んでもいい」と認めてあげましょう。
心と体を休める時間は、再登校への準備期間です。
Step2:日常リズムを整える
起床・食事・趣味活動など、生活リズムを取り戻すことが次のステップ。
この段階で無理に登校を促す必要はありません。
Step3:学校とのつながりを保つ
担任や友人との連絡を途絶えさせないことが大切です。
「学校=怖い場所」ではなく、「関わっても大丈夫」と感じられる関係を再構築します。
Step4:新しい学び方を選ぶ
復学が難しい場合は、通信制高校やフリースクールなど、
別の形で学びを継続する選択も前向きな一歩です。
不登校は「学び直しのチャンス」
不登校は「失敗」ではなく、「自分を取り戻す期間」です。
自分のペースで考え直す時間を持つことで、
将来の方向性や、本当にやりたいことを見つける生徒も多くいます。
実際、通信制高校から大学・専門学校へ進学したり、
ボランティア活動を通して社会復帰を果たすなど、
「不登校経験を強みに変えた」例は数多く存在します。
まとめ
高校での不登校は、進路や将来に関わる重要な問題ですが、
正しい理解と支援があれば、必ず回復の道は開かれます。
親は焦らず、子どもの気持ちを受け止め、
学校・専門機関と協力しながら、柔軟な進路選択を支えていきましょう。
不登校は終わりではなく、新しい学びの始まりです。
自分のペースで進むことを大切にし、
それぞれの「未来への道」を一緒に見つけていきましょう。
✅ この記事のポイント
- 高校の不登校は「進路不安」「人間関係」「心身の不調」が要因
- 出席扱い制度や通信制など多様な選択肢がある
- 家庭では「否定せず焦らず」の姿勢が重要
- 不登校は「学び直しと再出発のチャンス」





